塩つけめんにグッときた。券売機の塩つけ麺と云うワードにタマシイが揺さぶられたのだ。ピリッと舌を刺す塩の尖りとアブラのまろやかさがお口の中で再生されて思わず生唾を飲んだ。しかし一抹の不安が過る。果てしなくアッサリしているのではないか?人差し指が迷う。ええい、ものは経験だ!チャリンチャリン
お待たせしました!と置かれたモノを見てああ…と思う。まるでアブラっ気のないスープ。不安は的中した。更にはつけ麺とは思い難い中細麺、これで麺がヤワヤワなら憤死も同然。しかし佐野ラーのようにまるで油味のないメーンでも本当に旨いものは旨いのだ。諦めるのは早い、みゆきちゃん。落胆するのは啜ってみてからでよい。
ああ…残念すぎる。アブラもなければコクもない。添えられた山葵を溶き入れるとうどんか?これうどんか?わたしはうどんをしに来たのか?この麺全てをこのスープで飲めよと?切ない。切ない。オトコノコなのに泣いちゃいそうだ。隣の濃厚つけ麺が恨めしい。大野弁で云うならへどー、けなるい。
濃厚と謳うつけ麺をひと啜り頂戴。普段なら平均点を付ける味も神懸かって感じる。これくれんか?これみゆきちにくれまいか?でもわたしはもうおっきいこだからそんなことは云わない。兎に角早く済ませてしまおうと残りの塩つけ麺を一息で流し込んだ後、ただただ恨めしそうに隣を眺めるだけだ。そしておもう。初物に迷う時は周りを見よ。先人のそれらしきものを目視した後決めよ、そしてマイラードを持ち歩け。