豪雪地帯の北陸は福井県のお話。
小学生の頃、
冬、雪が降ると、通学路がたんぼの真上になった。
それを「お空に乗る」って言った。
たんぼの上に降り積もった雪は
朝かちんこちんのアイスバーンになっていて
人が乗ってもびくともしない。
で、
家から学校まで、
たんぼの上を歩けば直線コースで学校に行けた。
何より、除雪車の跡や
深い雪の中の車の轍の道を歩くよりもはるかに歩きやすいねん。
軒下のつららをもぎ取りお空に乗る。
それを武器にするものもいれば、舐めるものもいた。
でも、2月も終わりになると少し暖かくなって
雪が柔らかくなるものだから
お空に乗るとゴボる。
ゴボる、をうまく標準語に出来ないのだけれど
ニュアンスは伝わるやんね?
足がゴボって、足を抜いたら長靴を取られて抜けなくなったり
稀に身体ごとゴボって、近隣のおっちゃんらがレスキューに駆けつける事件も起こった。
今はどうなのかなぁ。
こどもの安全に関して神経質になりすぎているから
お空の通学路は禁止されているかもしれない。
広大なたんぼの上の一面の銀世界は、現実離れした美しさがあってんよ。
まるでほんとうの「お空」の上を歩いているような。