鰹の出汁を取ろうとして鍋蓋を開けて、あっと思った。
鍋の二度洗いをしてなくて、ほんのりドミグラスソースの匂いがした。
短時間やけど鍋を酢水につける。


このあいだ「天皇の料理番」てドラマを見ていて
夜洗った鍋を朝もう一度洗わねばならないのに
それを怠った主人公が料理長からこっ酷く叱られていた。

「なんで夜綺麗に洗ったのに、朝もっぺん洗わなあかんのですか!」

ってキレてたけど
汚れは落ちても匂いは二度洗いしないと落ちないものがある。
駆け出しの若い主人公はそれを知らんかった。


あとで劇中の料理長が

「料理はまごころだ。包丁を研ぐのも、鍋を二度洗うのもまごころ。
まごころのない料理人に一流の料理は作れない」


て言うてたけど
そうやなあと思ったわ。
ドミグラスソースの匂いがほのかに残る鍋で鰹出汁を取るなど言語道断
二度洗いの他、洗い終わった鍋に水を張って酢を垂らして一晩放置しておく、
これで前の料理の匂いは取れる。
こういう手間を惜しんではいけないのだ。




炊き合わせを作るときは素材ごとに別々に炊く。
いろんな味が混じると素材単体の風味が殺されてしまうし、雑味が出る。
それを「田舎風」「おばあちゃんの味」と言う人もいるけれど
決して上品な味ではない。

こういう一手間もまごころだと思うわ。
ご芳名
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